団結できないモザイク国家
 タリバーンの中にも穏健派がいるように、北部同盟側にも急進派はいる。どこまでいってもジグソーパズル、モザイクだ。国内のグループでさえこの状態で、大同団結はできない。そんな状況下で米国などを中心とするキリスト教文化圏の海外勢力が支配することは、治安維持も含めて絶対に不可能である。

 彼らの生活や行動の形式は、基本的に部族主義なのである。

 もしも現在行われている空爆が功を奏し、適度の地上軍の派遣で万、万、万が一、戦いが終わり、北部同盟が米軍と共に南部地方におりていくという形で全土を掌握したとしても、戦いが全くなくなるというようなことはなく、内戦は続くだろう。

 どんな形に情況が変わったかに見えても、内戦の火種は内包したままなのである。

 日本や欧米列国のような形での、何かをするためにきちっと機能する行政府を今のアフガニスタンに直ちに求めるのは無理がある。

 欧米は現在、イタリアに亡命中のジャヒル・シャーをアフガニスタンに連れてきて、最終的に統一政府の頭に戴こうとしているが、基本的に彼を連れてきても、そういった統一体をつくることは難しいだろう。

 なのになぜ、欧米がそんなことを考え付くのか。あの国王がパシュトゥン人である、ということが一つの理由である。

 現在、北部同盟の幹部や欧米が何を考えているかといえば、国王が一応パシュトゥン人だから、パシュトゥン人の国王を据えて、パシュトゥン人全体を牽制するということだ。そして北部同盟の主軸となっているタジク人を79年以前の頃と同じような形で行政官、官僚として政府のシステムに入れるという形で統一政府をつくろうとしているのはミエミエなのだ。

 ただ、この方法には無理がある。

 元国王といえども20数年間、異国の地で何不自由なく暮らし、母国の戦地へなど赴いたこともない人物が国民から慕われるわけもない。

 先のムジャヒディンの頭目の中には「何のためにいまさら彼を国王に戴く必要性があるのか」と堂々と発言する者までいる。

 もう一つある。欧米にとっては、こちらの方が重要だ。20年以上も西側先進国で何不自由なく生活を送ってきた元国王は、欧米にとって懐柔しやすい人物だということだ。逆にイスラームの側から見ると、精神性の部分は西欧文化に毒されているということでもある。
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